~第一節 そして生贄の祭壇へ~ |
イーゼルN |
つかの間の休息でした。神々の山の麓で夕食を終え、
2時間の休息を取った後、支度を終え、生贄の祭壇に向かう事になりました。
新月から1日しか経っていない夜は、まだ暗く、
しかし、不気味なほど無数の星々が夜空を埋め尽くしています。
ルイが決めた、夜に生贄の祭壇に向かう事は果たして正しいのでしょうか? |
ルイ |
じゃぁ、神々の祭壇へ向かうか。イーゼル。ライトの魔法を頼む。 |
イーゼル |
判りました。「光につどいし精霊よ、我らを照らす明かりを灯し給え スワイプ・ライト」 |
リュード |
へぇ、やっぱ、魔法は便利な物だな。 |
ルイ |
さぁ、行くぞ、獣や魔物に気を付けるんだ。俺が先陣を切る。リュードはしんがりを頼む。 |
リュード |
へーい。 |
ルイN |
生贄の祭壇までは舗装した街道だ。馬も足取りは軽く、軽快に歩を進めていた。 |
イーゼル |
獣たちがいます。こちらを睨んでいますよ。 |
ルイ |
まぁ、襲っては来ないだろう。早くもなく、遅くもなく、馬を走らせるんだ。 |
リュード |
そろそろ、夜が明けますぜ。 |
ルイ |
そうだな。生贄の祭壇はまだなのか。しかし、魔物は本当に見かけないな。 |
イーゼル |
リュードさんのカンは当たっていましたね。神々の山には魔物がいないみたいです。 |
ルイ |
まだ油断は禁物だ。 |
リュード |
しっかしルイ、何故夜に移動する。体力が持たなくなるぞ。 |
ルイ |
夜の神々の山を知っておく必要がある。見張り、その他諸々の対処のためにな。 |
イーゼル |
そうでしたか。まぁ、でもこれで、あまり心配ないのは判りましたね。 |
ルイ |
あぁ。 |
ルイN |
朝焼けがきれいに見える頃、俺たちは生贄の祭壇に到着した。
しかし、まだ、何か引っかかる。何事も起きなければいいが。 |
~第二節 生贄の祭壇~ |
リュード |
此処が生贄の祭壇か? |
イーゼル |
はい、そうです。 |
リュード |
殺風景な所だな。石でできた祭壇があるだけじゃねぇか。 |
ルイ |
まぁ、そんなもんだろう。さて、休憩にするか。昼まで二人は休んでくれ。俺が見張りをする。 |
イーゼル |
何も出ないと思いますよ?ルイも休んでは? |
ルイ |
万が一って事もある。俺はいいよ。 |
リュード |
へいへい。じゃぁ、ちょっくら寝るかな。イーゼルも寝とけよ。この後が大変だぜ。 |
イーゼル |
判りました。ルイ、お休みなさい。 |
ルイ |
あぁ。 |
ルイN |
見張りの間、生贄の祭壇と、その周りを徒歩で調べた。特に何も無い。祭壇に大きな傷跡、
争いの後、血痕も無い。大人しく生贄になったって事か?何かが気になる。
そうこうしているうちに昼になった。イーゼルとリュードを起こす。 |
イーゼル |
おはようございます。ルイ、私たちが寝ている間、どうせ何か調べてたんでしょ? |
リュード |
あぁ、俺も気になるぜ。 |
ルイ |
リュード、起きていたのか。 |
リュード |
まぁな。で、何か判ったのかい? |
ルイ |
特に何も。逆に言うと何もないのが不思議なくらいだ。
さて、馬を使ってこのあたりを調べよう。 |
リュードN |
夕刻になっても、何一つ手がかりは見つからねぇ。不気味なくらいだ。
本当に此処で生贄の儀式が行われているのか? そう3人は思い始めたんだ。 |
~第三章 小さな手がかり~ |
イーゼル |
もうそろそろ、夜のとばりがおりますね。暗くならないうちに夕飯にしましょう。 |
ルイ |
あぁ、そうだな。しかし、このあたりは何もないな。神は此処でなにをしていたんだろう。 |
リュード |
まぁ、その内判るんじゃねぇか。あ、そうそう、昨日は寝ずの見張りだったから、
俺は葡萄酒を飲んでいねぇ。今日はたらふく飲むからな。 |
ルイ |
お前、酒に弱いんじゃないのか? |
リュード |
いいって事よ。 |
イーゼル |
ルイ、リュードさん、夕飯の支度ができましたよ。さぁ、食べましょう |
ルイN |
その晩はリュードは葡萄酒を結構飲んでいた。そのうち歌を歌い出し、踊り出した。
それがいけなかった。リュードはランタンを蹴り飛ばし、あたりは暗闇に覆われた。 |
イーゼル |
リュードさん、なにしているんですか! |
ルイ |
イーゼル、悪いがライトの魔法を使ってくれないか。これではランタンを付ける事もできない。 |
リュード |
わりぃ、わりぃ、でも、酒はいいなぁ。明るい気分になれるぜ。 |
イーゼル |
ちょっと待ってください。あそこ、帰らずの森の方向、小さな光が見えます。 |
ルイ |
俺には見えないが・・・本当か?光って事は、文明を持った何かが潜んでいるのか?
イーゼル、方角、距離は判るか、覚えておいてほしいんだが。 |
イーゼル |
判りました。だいたいの位置は判ります。今、ライトの魔法を使いますね。 「光につどいし精霊よ、我らを照らす明かりを灯し給え スワイプ・ライト」 |
ルイ |
リュード、手がかりかどうかは判らないけど、一つ収穫はあったぞ。って、寝てるのか・・・ |
イーゼル |
もう、寝ましょう。今日は最初私が見張りをします。その代わり・・・・・・
ルイのそばで見張りをしてもいいですか?3時間後に起こしますから。 |
ルイ |
あぁ、判った。俺も、少し疲れていた所だ。助かる。何かあったら、すぐ起こしてくれ。
あ、そうだ、ランタンに火を灯さなきゃ。イーゼル、ライトの魔法解いても大丈夫だ。 |
イーゼル |
はい♪ ルイ、お休みなさい。 |
イーゼルN |
その晩は何事もなく過ぎていきました。ルイと交互に見張りをして。なんかうれしいな。 |
ルイ |
おはよう。イーゼル。リュード。 |
イーゼル |
リュードさんはまだ寝てますよ。よほど疲れてたんでしょうね。ルイ起こしてきてください。
簡単な朝食を作りますので。 |
ルイ |
リュード、起きろ! いつまで寝てるんだ。 |
リュード |
うぅ~ん・・・・・・ くはぁ、よく寝たぜって、あれ、もう朝か? |
ルイ |
あぁ、そうだ。昨日の晩は俺とイーゼルで見張りをした。後でイーゼルに礼を言っておけ。 |
リュード |
そうか。イーゼルには悪い事をしたな。なぁ、ルイ、今日も収穫なしだったらやばくないか? |
ルイ |
お前が寝ている間に、というか、お前のおかげで収穫はあった。今日はそこへ向かう。 |
リュード |
へ?俺のおかげ?何かしたか? |
ルイ |
イーゼルが昨日の夜、帰らずの森の方向に光を見つけた。俺には見えなかったがな。 |
リュード |
光の神官だから見えたのかな。 |
ルイ |
判らん。でも今はそれしか手がかりはない。今日そこに行く。 |
リュード |
あいよ。さて、飯でも食いに行くか。イーゼルには謝らなとな。 |
イーゼルN |
軽い朝食を取ると、身支度を済ませ、昨日光が見えた方向に馬を向かわせました。
今までとは違い舗装されていない道、移動速度も三分の一くらいになったでしょうか。
帰らずの森の近くに来たときにはすでに夕刻になっていました。 |
ルイ |
おい!人影が見える!あそこだ |
リュード |
本当だ、少し距離があるから、はっきりとは見えないが。 |
ルイ |
イーゼル、光が見えたのはあの辺か? |
イーゼル |
昨日見た光は遠くからだったのでよくわかりませんが、たぶん、もう少し奥の方です |
ルイ |
急ごう。 |
ルイN |
皆の気が焦っていた。大きな手がかりらしき物を見つけたからである。
でも、人影は遠いため、種族などは判らなかった。しかし、見過ごすわけには行かない。 |
イーゼル |
確かこの辺ですね。あ! 足跡があります。それも複数です。
これは、人間の足跡ですね。でも、判りませんね。こんな所に人がいるのでしょうか? |
ルイ |
手がかりは見つかった物の、人影ももう、見当たらない。
この場所はもう、帰らずの森に少し入っている。それに、もう夕暮れだ。
危険があるといけない、少し引き返して、休息を取ろう。 |
リュード |
そうですな。ここでの野営はちと、危険すぎますな。 |
ルイ |
戻るぞ。しかし、帰らずの森か、厄介だな。
あの森の奥に入った物は一人として帰ってこない。かといって、これ以外手がかりが
無い以上進むべきなんだろうな。 |
イーゼル |
そこは、何とかなると思います。あくまで、何とかですが・・・ |
リュードN |
その夜、森を出て1時間位の場所まで引き返し夕食を取った。
いやぁ、今日は葡萄酒は飲めねーな。その夜、ルイと俺とで見張りをした。
毎度の事ながら、魔物はおろか、獣も出てきやしない。
そしてミランダ王国を出てから3日目の朝を迎えた。 |
ルイ |
イーゼル、リュードおはよう。今日は、あの森に入っていく。早々に支度をして行くぞ。
時間が無い。 |
リュード |
あぁ、いいでっせ。 |
イーゼル |
判ったわ。今は、これしかないんですものね。 |
リュード |
帰らずの森と言ってもただの森ですなぁ。なぁ、イーゼル、何ぶつぶつ言ってる。 |
イーゼル |
ちょっとしたおまじないです。気にしないでください。 |
~第四章 アンデット 昔の仲間~ |
ルイ |
イーゼル、リュード、止まれ。何かの気配がする。 |
イーゼル |
これは、アンデット! それも、囲まれています。何体いるんでしょう。多すぎます! |
リュード |
ふ~ん。アンデットねぇ。たいしたことないですな。 |
ルイ |
まて、リュード、おかしいぞ、相手は一定の距離を保って動いていない。 |
イーゼル |
このアンデットに殺意は無いみたいですね。でも、可哀想。死んでも死にきれず、
魂だけが此の世に縛り付けられています。魂の浄化を試みてもいいですか? |
ルイ |
何かあるといけない、今はやめておくんだ。相手が襲ってきたら、まとめて浄化してくれ。 |
イーゼル |
判りました。 |
リュードN |
それから30分は経った。両者とも動かない。しびれを切らした俺たちは、ゆっくりと移動
することにした。 |
ルイ |
慎重に動け、少しずつだ。 |
イーゼル |
こちらの動きに合わせて、相手も動いてきます。どういうことでしょう。 |
リュード |
こちらは馬に乗ってるんですぜ、一気に振り切っちまいましょうぜ。 |
ルイ |
いや、様子を見よう。相手は襲ってこない。アンデットは闇との契約だ。
最悪の場合イーゼルの魔法で何とかしてもらおう。こっちには情報が少ない。
今動くのは得策じゃ無いと思う。 |
イーゼル |
私もルイに賛成です。 |
リュード |
へいへい、隊長さんに、その彼女さん |
イーゼル |
リュードさん! |
ルイ |
イーゼル、相手にするな。それより、昼飯にしよう。馬に乗ったまま。 |
イーゼル |
干し肉とエリン果汁でいい? |
ルイ |
あぁ。リュード、飯にするぞ。 |
リュード |
あいよ。 |
イーゼルN |
昼食をとっている時、アンデットの一体がこちらに近づいてきました。
身長は140cm位でしょうか。女の子の面影が残っています。
その時、私はある事に気がつき、おもわず手にしていた干し肉を落としてしまいました。 |
イーゼル |
エリン! エリンだわ、間違いない。去年生贄になったエリンだわ! |
ルイ |
なに! じゃぁ、このアンデット達は・・・ |
リュード |
生贄になった女の子達ってわけですかい。 |
イーゼル |
エリン、私よ、イーゼルよ。エリン! 気がついて! そうだ、あなたの魂を浄化してあげる。
まってて、「光につどいし精霊よ、闇に縛られし魂を解き放て、エルム・デ・ソウル」
あれ? だめだ、魂が解き放たれない。なんで・・・ |
ルイ |
黒幕がいるな。魂を縛り付けているんだ。イーゼル、リュード、悪いが昼食は抜きだ。
一気に、このアンデットの包囲網を抜ける。このアンデットの正体がわかった以上危険だ。
黒幕が、一気にアンデットを操り、攻撃を仕掛けてくる可能性がある。 |
リュード |
どっちに向かいますかい? |
ルイ |
イーゼル、昨日光の見えた方向は判るか? |
イーゼル |
森のもう少し奥です。
みんな、待っててね。必ずあなたたちの魂を解き放ってみせるから。 |
ルイ |
行くぞ!続け |
リュードN |
森の中は足もとが悪い、馬を駆ってもそこまでの速度は出ねぇ。
それでも、アンデットよりは早く、30分も走るとアンデット達は見えなくなった。 |
ルイ |
イーゼル、光の見えた場所は |
イーゼル |
流石に、私にもこの辺としか判りません。 |
ルイ |
じっとしていても仕方ない。走っていれば、黒幕に出くわす可能性もある。
これは、神の仕業じゃ無いな。誰が生贄をアンデットにして操っているんだ。 |
リュード |
なにか、おかしくはありませんかい? もう、空があかね色ですぜ。
まだ、森に入ってから4時間位しかたってねぇ。 |
ルイ |
時空がゆがんでいるのか? その辺は判るかイーゼル? |
イーゼル |
判りません。でも、此処まで来れば大丈夫だと思います。
まぁ、アンデットの軍団が他にも居れば話は別ですけど。 |
ルイ |
いやな予感がする。今日はここで朝まで休む。イーゼル、簡単でいいから夕食を頼む。
リュード、イーゼルと一緒に居てやってくれ。俺は、この近辺を調べる。 |
イーゼル |
迷ったらどうするんですか?危険です。黒幕に出会う可能性もあります。 |
ルイ |
目の届く範囲だけにする。少しでも安全を確保したいんだ。30分で戻る。 |
リュード |
ちゃんと、戻ってきてくだせぇ。戦力の分散は危険でっせ。 |
ルイ |
心得ている。 |
ルイN |
しかし、その辺を調べたが大した情報は得られなかった。
その時だった、イーゼルの悲鳴が聞こえた。 |
リュード |
こいつは、まずいな、アンデットの群れか。ルイめ、何してやがる。
おーい、ルイ、戻ってこい。こっちは大変なんでさぁ。 |
ルイ |
まずいな。だが、3分も掛からず戻れるだろう。急ぐか。 |
イーゼル |
ルイ、戻ったのね。アンデットがまた、現れたわ。 |
リュード |
また、一定の距離を置いてこちらを見てるぜ。害は無いんだがなぁ。 |
ルイ |
そうとも限らん。移動するか。イーゼル、すぐに撤収できるか? |
イーゼル |
10分もあれば・・・ |
リュード |
あ、アンデット達が・・・消えた? |
ルイ |
何が起きたんだ? |
イーゼル |
今、丁度 夜の帳がおりました。
たぶんですが、日が出ているときにしかアンデットは活動出来ないと思うんです・・・
でも、矛盾していますよね。普通アンデットは夜を好みます。 |
ルイ |
もし、イーゼルの言う事が的を得ていれば、ますます、黒幕がアンデットを
思うがままに動かしてるとしか思えないな。 |
リュード |
何もかもが、矛盾した世界でっせ。 |
~第五章 白き黒幕~ |
イーゼル |
あ! 昨日見た光が見えます。そんなに遠くありません。 |
ルイ |
撤収はしなくていい、そのままの状態で光を追いかけるぞ、黒幕かもしれない。 |
イーゼル |
でも、料理道具が・・・・ |
ルイ |
ランタンを焚いておけ、目印になる。これはあくまで俺のカンだがあの光、何かある。 |
イーゼル |
判りました。昼のアンデットに、夜の光。精霊魔法に近い物を感じます。 |
リュード |
まぁ、魔法だがなんだか知らんが、俺の出番だな。ぶっ潰すだけだ。 |
ルイ |
行くぞ、ぐずぐずしている暇は無い。 |
イーゼルN |
出発したまさにその時でした、声が聞こえました。いえ、声ではありません。
心の中に直接響いてくる思念波でした。声は言いました
「こっちに来るのでは無い。来れば死よりも辛い現実がまっているぞ」と |
ルイ |
今、心の中に声が聞こえた。お前らもか。 |
イーゼル |
えぇ、「死よりも辛い現実が待ってるぞ」と。 |
リュード |
同じでっせ。 |
ルイ |
ますます黒幕っぽいな。行くぞ、躊躇している暇は無い。 |
イーゼル |
光は私しか見えません。案内します。 |
ルイN |
イーゼルのむかった先は、森がそこだけ円形に木が生えていない場所だった。
そこには光のローブを着た身長140cm位の人のような物が立っていた。 |
ルイ |
誰だお前は! |
白き闇 |
我はこの森を治める物なり。名は、白き闇。汝の企みは判っている。
ここに来なければ、ただ餓死で死ぬだけで済んだ物を、我に会いに来るとは。
アンデットは死肉を食らう。お前らが死ぬのを待っていたのだよ。 |
ルイ |
では、帰らずの森の由来はそこにあるのか。
森から出る事も出来ず、餓死した人間をアンデットが食らうと言う事なのか |
白き闇 |
その通り。しかしお前らは我に会ってしまった。
これからは、お前らもアンデットとして永遠に魂をこの森に縛り付けられる事になろう。 |
ルイ |
そうは行かない。リュード行くぞ! |
リュード |
待ってました、いくぜ! うりゃぁ~ |
ルイ |
たぁ~! |
白き闇 |
無駄だ。 |
イーゼルN |
ルイとリュードさんの剣は同時に白き闇の胴をなぎ払いました。
しかし、その攻撃は空を切り、勢い余った2人はバランスを崩しました。 |
白き闇 |
愚かなもの達よ、今 永遠の闇を与えてやろう
「闇に巣くう亡者よ、汝の魂を今、彼と共に ラクア・デル・フィア」 |
イーゼルN |
その瞬間でした。白き闇の手と思われる部分から白い閃光が飛びルイとリュードさんに
吸い込まれ、2人は力尽きたように崩れ落ちました。 |
白き闇 |
これで、2日もあれば、お前らはアンデットと化す。まぁ、その間動く事かなわんだろう。
ほぅ、お前が今年の生贄か、お前をアンデットにするには満月の力を借りねばならぬ。
それまで生きていろ。さもなくば、この世界は再び混沌と化す。それがお前らとの契約だ。 |
イーゼル |
そうはさせません。倒れるのは貴方です。 |
白き闇 |
何とでもいえ、人間の力など我の前では無力だ。さらばだ。 |
イーゼルN |
そう言うと白き闇はローブをひるがえし、消え去りました。
私はルイとリュードさんの名前を叫び、彼らの前まで走っていきました。 |
イーゼル |
この魔法は危険だけどやるしか無い!
「光につどいし精霊よ、我が生命に賭けて友を蘇らせん ルーン・オブ・リザレクション」 |
イーゼルN |
私は光の精霊魔法の中でも最も高次な魔法、生き帰りの魔法を使いました。
この魔法は下手をすると術者の命を奪います。私も、その場に倒れ込みました。
そして、深い眠りに付いたのです。 |
ルイM |
ぅ~ん。あれ、俺は・・・ 体が重い、心が悲鳴ではち切れそうだ。なんだこの感触は。
そういえば白き闇を切り伏せたと思ったら、白い衝撃が・・・
あそこに居るのはアンデットの群れだ・・・
空は・・・ 夕刻か。
そうだ、イーゼルは? リュードは? なんだ目の前に二人とも居るのか。
でも、目を開けてない。死んでなきゃいいけど。 |
ルイ |
イーゼル! リュード! |
リュード |
うぁ・・・ ルイ。生きてたか。なんだこの感触。体も重いし、何より心が痛い。 |
ルイ |
お前もか。俺もだ。白い衝撃が走ったかと思ったら、この様だ。 |
リュード |
イーゼルは? |
ルイ |
そうだ、イーゼル、イーゼル! |
イーゼル |
ぁ・・・私・・・生きいてたんだ・・・・ ルイ 動けるのですか? |
ルイ |
何とかな、体は重くて、心がはち切れそうだが。 |
イーゼル |
ルイとリュードさんはアンデッドになる魔法を掛けられました。
私の魔法で、4日間はアンデットにならずに済むと思います。
ただ・・・ 私は精神力をほぼ使い切ってしまいました。
最後の手段を使うしかありませんね。ルイ、馬は居ますか |
ルイ |
あぁ、居る。軍馬だけあって、そう簡単には逃げなかったみたいだな。 |
イーゼル |
私の馬のバッグの底にあるサラの実を持ってきてくれませんか? |
ルイ |
サラの実だって? あれは収穫したら1日で腐ってしまうのでは無いのか? |
イーゼル |
大神官マーサ様が特殊魔法を掛けてくれました。1週間は持ちます。
あの実は、魔力源であるマナの回復と共に精神の浄化作用があります。
気力も少しですが回復します。サラの実は3つあります。
此処で全て食べてしまうのは得策で無いかもしれませんが、やむを得ないでしょう。
一人一つずつ食べましょう。 |
リュード |
俺たち何日寝てたんだ? |
イーゼル |
ルイとリュードさんのアンデット化の進行状況から見て、たぶん1日だと思います。 |
リュード |
俺がとってくるわ。 |
イーゼル |
リュードさん、ありがとう。 |
ルイ |
うは、サラの実って、不思議な味がするな。 |
イーゼル |
そうですね、決しておいしいとは言えません。食べたら寝ましょう。
サラの実を食べたのであれば1時間位で心身が回復します・・・お休みなさい。 |
ルイ |
イーゼル、かなり精神力を使ったんだな。リュード、俺たちも寝よう |
リュード |
あぁ。でも、アンデッド達が居るぜ。 |
ルイ |
奴らは、夜には消える。問題ない。 |
リュード |
そうだな。お休み |
ルイ |
お休み |
~次回予告~ |
イーゼル |
次回予告 |
リュード |
俺って今回結構活躍した? |
ルイ |
いや、そうでも無いかな。 |
リュード |
だよな~。おいしい所はイーゼルが全部持ってちまった。 |
イーゼル |
そんなこと無いわ、リュードさん今回大活躍だったじゃないですか。 |
リュード |
そうか? |
イーゼル |
えぇ、葡萄酒飲み過ぎて、歌って踊ってランタン倒して。 |
リュード |
う・・・・うぅ |
イーゼル |
そんなこんなで、次は最終話 一つの平和 次も楽しみに待っててね♪ |
リュード |
俺の次回予告の台詞までとられた |
ルイ |
リュード、次はいいことあるさ。 |
リュード |
まぁ、いっか。そういうことで、皆さん、See you next time. bye bye ! |
イーゼル |
あ、今度はまともに全部英語。 |
ルイ |
まぁ、なんでもいいや。 |
次回へ続く! |