~第一節 ラグーン島~ |
イーゼルN |
ミリア海に存在する一つの島。そこは貴重なレアメタルの宝庫でした。
この島を発見したのが冒険家ラルフ・F・ラグーン。
そして、その島はラグーン島と名付けられます。
ラグーン島の統治権を巡り、国家間の大規模な戦乱が起きました。
しかし、ラグーン島は先住民及び古代の魔物が多く住む島で、
国家間の戦乱と同時に魔物達の討伐にも力を注ぐ事になりました。
戦乱の後、ザルベイ国家がラグーン島を占有する事で決着がつきます。
しかし、その32年後、ラグーン島を占有していた領地が独立を図り、
ラグーン島にミランダ国家が誕生し、この年がラグーン歴0年と制定されました。
ラグーン歴124年、ラグーン島は複数の国の侵略により再び大規模な戦乱を迎えます。
戦乱の後、結果的に、ミランダ国の勝利という形で終戦を迎えますが、
ラグーン島は3つの国と、先住民であるエラルの民が共存する事になりました。
現在ラグーン歴172年、いまだ未知の魔物が数多く存在していますが、
4つの国は平和と共にあります。
ただ一つの儀式を除いては。 |
~第二節 死への予感~ |
ルイ |
その話、本当か? |
リュード |
あぁ、残念ながら本当だ。まさか、イーゼルが・・・ |
ルイN |
俺はルイ。話してきたのが騎士団一の相棒のリュード。
父が前の大戦の騎士団長だった事と剣技からか、この王国の騎士団長を勤めている。
この国は平和だが、年に一度穀物の収穫前に、
汚れのない女性を神に一人生け贄に差し出すという慣例が残っていた。
その生け贄に自分の幼なじみイーゼルが選ばれたというのだ。 |
ルイ |
俺は国王のところに行ってくる。お前は来るな。 |
リュード |
おいおい、おれも行くって。どうせ、お前の事だ、厄介事になりかねない。 |
ルイ |
任せておけ。 |
リュード |
いや、任せられないね。俺も行く。 |
ルイ |
どうなっても知らないぞ。リュード。 |
リュード |
あぁ、好きにするよ。 |
リュードN |
ルイは国王の前で、とんでもない事を進言した。そう「神を殺す」と。
そうすれば、「これ以降、生け贄を出さなくて済む」と。
国王は、語尾を荒げながら「お前ら二人とも王国追放とする」と言っただけだった。
国王も判っているのだろうか、諸悪の根源を絶たなければいけない事を。
だから、王国追放をし、俺たちに神殺しのチャンスをくれたのかのかもしれない。
自国の騎士団に神殺しの汚名を着せたくないのであろう。 |
ルイ |
さて、行くか。 |
リュード |
軽いな。お前。 |
ルイ |
どうかな? |
リュード |
ちと、俺は用事があるんで、失礼するな。 |
ルイ |
彼女にでも会いに行くつもりか? |
リュード |
まぁ、そんな所だ。 |
ルイ |
昼前に、城門の外で待っている。 |
リュード |
あぁ、それまでには、いける。 |
~第三節 イーゼルの決意~ |
リュード |
よぉ、男前さん。 |
ルイ |
来たか。でも、俺も無鉄砲な事言ったよな。生け贄の儀式まであと2週間しかない。 |
リュード |
あぁ、生け贄は実際に5日前には馬車で向かうから、正確なところ9日しか残ってねぇ。 |
ルイ |
そうなるな。 |
リュード |
まさかとは思うが、何も計画なしに飛び出したんじゃないだろうなぁ。 |
ルイ |
そのまさかだ。 |
リュード |
隊長さん、頼みますわ。歩いて行ったら、それだけで1週間かかっちまう。 |
ルイ |
街道を走ってでも行くか。って、あれ? イーゼル? |
イーゼル |
こんにちは、ルイにリュードさん。 |
ルイ |
お前、何やってるんだ。こんなところで。 |
イーゼル |
生贄は逃亡しなければ五日前までに帰ってくればいいの。 |
ルイ |
まさか、リュード、お前の仕業か? |
イーゼル |
お昼まだでしょ。作ってきちゃった。まずは食べましょう。 |
リュード |
だそうだ。 |
ルイ |
ピクニックに行くわけではないのは判ってるんだろ、イーゼル。 |
イーゼル |
あら、私の回復魔法、結構役に立つんですよ。 |
リュード |
だってさ、必要だろ、ルイ。 |
ルイ |
・・・ |
イーゼル |
私は、所詮生け贄になる身、命など惜しくありません。あれ?ルイ、なに考え事をしているんですか? |
ルイ |
はぁ・・・・。よし、判った。もう、生け贄はごめんだ。しかし、時間は残されてないんだぞ。判っているのか? |
イーゼル |
私も、援護役で騎士団に所属していることは知ってるでしょう? |
ルイ |
あぁ |
イーゼル |
もうすぐ来るわ。 |
リュード |
何がだ? |
イーゼル |
紅茶でも飲みましょう。 |
ルイ |
時間がないんだ。今すぐにでも出発しなければ。って、え? |
イーゼル |
あ、来た来た。 |
リュード |
おい、あれってサムスンじゃないか?それも馬を3頭引き連れて、おい、イーゼル、どうなってる? |
イーゼル |
ふふふ、馬を用意しました。こう見えても私、結構人気者なんですよ。 |
ルイ |
でも、あれじゃサムスンが懲罰を受けてしまう。 |
イーゼル |
その辺は任せておいてください。裏工作は済んでいますから。 |
リュード |
どういう訳かは聞かねぇが、ありがとな。 |
ルイ |
イーゼル、言いたいことがある。ちょっといいかな? |
イーゼル |
なに? |
ルイ |
わかってるとは思うが、お前を神殺しに仕立てたくない。馬だけ借りていく。もし、もしもだ、俺が無事に戻ってきたら。俺のことを男としてみてくれないか? |
イーゼル |
え? |
ルイ |
俺が死んでも、お前は生け贄となって死ぬ。俺が無事戻れば、お前は死ななくて済む。 |
イーゼル |
いや、そんなことじゃなくて、その前。なんて言ったの? |
ルイ |
えっと・・・ |
イーゼル |
大神官マーサ様はこう言われたわ。お前は今を持って神官の立場を剥奪すると。お前は自由の身だと。愛する男性のそばに居てやれって。 |
ルイ |
え? それってまさか・・・ |
イーゼル |
私にそれを言わすつもり?ふふ。帰ってきてからにしましょう、この話題は。 |
リュード |
お前ら、そこで、何話してる。夫婦の痴話喧嘩か? |
ルイ |
リュード! 夫婦じゃない。今戻る。 |
リュード |
なにを話していたんだかな。 |
ルイ |
何でも無い。すぐに行こう。 |
リュード |
こいつぁ、すげーぜ、水に食糧その他諸々ときてる。 |
イーゼル |
えぇ、馬に積んでおくように言いましたの。一週間は暮らせますわ。 |
リュード |
ありがてぇぜ。 |
イーゼル |
サムスンありがとう。もう戻って、あとは、手はず通りに。 |
ルイ |
行ってしまったな。 |
リュード |
いや、違うぜ。これから、俺たちが生け贄の祭壇に行くんだ。 |
ルイ |
そうだな。 |
イーゼル |
そうね。隊長さん、今日はどこまで行きますか? |
ルイ |
途中の魔物たちの出現度にもよるが、神々の山の麓までは行きたい。 |
リュード |
へーい。 |
~第四節 旅路~ |
ルイN: |
三分の二ほど来たであろうか。道のりはほぼ順調であった。
大した魔物も出ず、3回位戦闘をしたくらいである。
その戦闘も、敵を追い払う程度の軽いものだった。 |
リュード |
さすがに街道は魔物が少ねぇな。まぁ、俺たち騎士団は国交の護衛が主な任務だけど。さすがに拍子抜けしたとしか言えん。 |
イーゼル |
まだ三分の二位しか来ていませんよ。油断は禁物です。 |
リュード |
わかってらぁ。 |
ルイ |
何かおかしいと思わないか? |
リュード |
何がだ? |
ルイ |
思ったより魔物が少ない。 |
イーゼル |
今日は新月です。新月は魔物が出にくいといわれています。 |
ルイ |
その2週間後の満月でお前は生け贄になるんだぞ!よく流暢なことが言ってられるな。 |
イーゼル |
信じていますから。 |
リュード |
俺たちのことかい。あぁ、安心しなイーゼル。 |
ルイ |
リュード、わかっているのか?これからやる事を。 |
リュード |
ルイは生真面目だな~。隊長さんが怖じけてちゃいけねーや。 |
ルイ |
あぁ、そうだな。 |
イーゼル |
頼みましたよ。隊長さん。 |
ルイN |
軽く談笑をしながらの旅路だった。まるで遠足に行くように。
しかし、それでも気を付けなければ、ならないことがあった。
この街道は一部帰らずの森と接しているのである。
昔はそのようなことはなかった。森が徐々に大きくなってる証拠である。
ここで大きな魔物に襲われた例は数多い。
最近になって、森の伐採計画まで出ているほどである。
しかし、それも杞憂に終わり、帰らずの森に接した部分を通り過ぎている。
時は夕刻になっていた。 |
~第五節 邂逅~ |
リュード |
拍子抜けだね~。 |
イーゼル |
もう、神々の山の麓ですわ。油断は禁物です。さて、私、夕ご飯の支度をしますね。 |
ルイ |
リュード、見張りをお願いできないか? |
リュード |
あぁ、いいぜ。 |
イーゼルN |
その時でした。空気が「バサッ」と大きな物音とともに大きく動きました。
全員が固まったのは仕方のないことです。
そこには、伝説の魔物ドラゴンがいました。全長は30m位でしょうか。
こちらをじっとにらんでいます。 |
リュード |
ルイ! |
ルイ |
まさか、ドラゴン? |
リュード |
厄介な物が現れたな。ドラゴンとは、ちと、俺たちにはきつくないか? |
ルイ |
俺がおとりになる。馬でドラゴンをひきつけるから、その隙に逃げるんだ。 |
イーゼル |
待って、このドラゴンに殺意は感じないわ。 |
リュード |
そうだと、有り難いねぇ。 |
イーゼル |
ルイ、こっちに来て。早く! |
ルイ |
おまえらは逃げろ。 |
イーゼル |
ルイ! |
ルイ |
お前、何か策はあるのか? |
イーゼル |
あのドラゴンに殺意はありません。 |
ルイ |
何かあるといけない。馬をそちらまで持って行く。 |
リュード |
で、なんだって?あのドラゴンさんはよぉ。 |
イーゼル |
何も話しかけてくれません。 |
ルイ |
こちらから話しかけてはどうだ。できるかイーゼル? |
イーゼル |
ルイ、もう来たんですね。わかりました。私から話しかけてみましょう。 |
ルイ |
うわ、ドラゴンが、翼を広げたぞ。それに口を開いている。 |
リュード |
まずいんじゃないの、これ? |
ルイ |
イーゼル。ドラゴンとの会話はまだか? |
イーゼル |
「光につどいし精霊よ、我らの前にて盾となれ、シャイニング・ミラー・レイ!」 |
リュード |
うぉ、ドラゴンが、炎を・・・ |
ルイ |
光の壁に阻まれて、炎はこちらには届いていない。しかし、反撃のチャンスがこちらにもない事になる。 |
イーゼル |
時期終わります。来ますよ。今度は、あなたたちの出番です。 |
リュード |
炎が消えた・・・ってありゃなんだ? |
ルイ |
イーゼル! |
イーゼル |
少し疲れました。守ってくださいね。 |
ルイ |
あぁ、それはいいが、ドラゴンと何を話したんだ? |
リュード |
そんなこと言ってる場合じゃないぜルイ。今日は付いてねぇ。 |
ルイ |
なんだ。 |
リュード |
あそこを見な。 |
ルイ |
あれは・・・・ |
リュード |
そう、デビル系のモンスターだ、ひぃふぅみぃ、全部で4体。油断はなんねぇ。 |
ルイ |
そうだな、少々手強いか。だが、リュード、お前は此処にとどまってくれ。 |
リュード |
だいじょうぶなのか? |
ルイ |
あぁ、イーゼルが心配だ。 |
リュード |
出番なしかよ~。まぁいっか。撃ち漏らしはこっちでいただくぜ。 |
ルイ |
頼む。 |
イーゼル |
殺してはなりません。気絶させてください。 |
ルイ |
何故だ。 |
イーゼル |
今はその時ではありません。後で詳しく話します。 |
ルイ |
よく判らんが、何とかする。 |
ルイM |
どうすればいい?相手は4体、こっちは一人だ。そうだ! |
ルイ |
イーゼル、疲れている所わるいが、この剣に光の加護をくれないか? |
イーゼル |
それくらいのことでしたら・・・。「光につどいし精霊よ、我の友に力を、イクリプス・エナジー!」 |
リュード |
おいおい、近づいてきてるぜ、敵さんはよ。何してるルイ! |
ルイ |
剣を鞘に収めているだけだ。 |
リュード |
それが、訳わからん。 |
ルイ |
イーゼルは光と契約している神官だ。このまま剣で相手に向かえばイーゼルの力にもよるが、闇と契約しているデビルを殺してしまうかもしれない。 |
リュード |
おいおい、本気で気絶させるだけにするのか? |
ルイ |
イーゼルがそう言った。だから、できるだけ殺したくはない。それに、何故か、あの敵に殺意を感じられない。 |
リュード |
ならいいが、死ぬなよ。 |
ルイ |
あぁ。行くぞ、魔物ども。 |
~第六節 決着~ |
リュードN |
30分くらいの戦闘が行われた。一見ルイが優勢に立っているようにも見える。 |
ルイ |
ぜぇ、ぜぇ。おまえら魔物は何時から手を抜くようになった。それくらいは判る。 |
リュード |
あ、魔物達が消えた。 |
ルイ |
え? |
リュード |
おい、残ったのがドラゴンだけだぜ。どうするよ、ルイ。 |
ルイ |
ドラゴンよ、俺の声が聞こえているのであれば、俺と契約してほしい。俺の命と引き替えに2人を助けてやってはくれないか。 |
イーゼル |
その必要はありません。 |
リュード |
起きていたのか? |
イーゼル |
私たちは試練に打ち勝ったのです。その試練のために、ドラゴンは来ました。 |
リュード |
ルイ、戻ってこい。ドラゴンと戦わなくて済みそうだ。 |
ルイ |
あぁ。うわっ! |
リュード |
ドラゴンがいっちまったな。あーあ、ルイ吹き飛ばされてらぁ。 |
ルイ |
ごほっ、ごほっ。 |
イーゼル |
お怪我はありませんか?ルイ |
リュード |
おー、アツいね~、イーゼルから、飛び出して行きやがった。 |
ルイ |
イーゼル。 |
イーゼル |
動かないでください。今、回復魔法を掛けます。 |
ルイ |
そんな力、残っているのか。 |
イーゼル |
えぇ、多少休ませていただきましたし。私も今回は本気を出していません。 |
ルイ |
なんだって? |
イーゼル |
私が本気を出すときは、自分の死を覚悟します。それくらいの精神力を使いますから。 |
ルイ |
しかし、何だったんだ。魔物も手加減をしていたような気がする。 |
リュード |
ルイ、平気か? |
ルイ |
あぁ、リュード来てくれたのか。 |
イーゼル |
お話ししなければいけませんね。 |
ルイ |
あぁ。訳がわからない。 |
イーゼル |
ドラゴンは、私たちが神殺しに行くのを知っていました。 |
ルイ |
何故判るんだ? |
イーゼル |
ドラゴンと会話をしました。お前達を試すと。あそこまで大きいドラゴンであれば、普通、私のシールドも貫通するブレスを吹くはずです。 |
ルイ |
なら、何故? |
イーゼル |
私たちが神殺しの力量を持っているか試したのです。 |
ルイ |
じゃぁ、なぜドラゴンや魔物は手加減した。神はそこまで弱いのか? |
イーゼル |
それは・・・ 私にもわかりません。 |
リュード |
だから、ドラゴンは、最初のブレスしか放ったなかったんだ。 |
イーゼル |
とは言いましても、明日は、動けそうにありませんね。ルイのその傷、表面上は治りましたが疲れは取れていません。それに、私もかなりの精神的消耗があります。 |
リュード |
明日は、休みだ、休み。それがいい。 |
ルイ |
功を焦ってはいけないな。明日は、休もう。リュード、今宵の見張りを頼んでいいか? |
リュード |
あいよ。明日の昼まで寝てな。それまでは、こっちで何とかする。 |
ルイ |
ありがとう。 |
リュード |
じゃぁ、今日の夕飯は、これな。ほれ。 |
イーゼル |
きゃぁ。 |
ルイ |
リュード、悪のりはやめろ。お前は人が戦闘中にミミズを探していたのか? |
リュード |
悪気はねぇんだ。ただ、食えるもん、取っておかねえとなと思ってな。 |
ルイ |
だからってミミズはないぜ。 |
イーゼル |
乾パンと氷砂糖があります。それを食べましょう。 |
リュード |
だからイーゼル、睨むなって。 |
ルイ |
リュード。お前が悪い。 |
リュード |
へいへい。まぁ、全員無事で何よりだ。 |
~第七節 リュードの決意~ |
イーゼルN |
その後、軽い食事が終わると葡萄酒を飲み、私とルイは寝ました。
あくる日起きてみると、そこには傷だらけのリュードが仁王立ちしていました。 |
ルイ |
おはよう。って、リュード、どうした、その格好。 |
リュード |
いやなー、オオカミさん御一行が来たものでな。 |
ルイ |
何故起こさない! |
リュード |
起こしたさ。でも、起きねーもんは、しかたがないな。うん。 |
ルイM |
リュードわざと起こさなかったな。見上げた根性だな。 |
イーゼル |
何を大声でって、あら、おはようございます。 |
リュード |
おはようさん。 |
イーゼル |
リュードさん、その格好は! |
ルイ |
イーゼル、リュードの手当てを頼む。 |
リュード |
じゃぁ、此処だけでもお願いするかな。ほれ。 |
ルイ |
うわ、足が牙の後だらけじゃないか。 |
リュード |
ちと、痛む。 |
イーゼル |
判りました。「光に集いし精霊よ、我が友の傷を癒やさん。ゴート・ザ・ヒール」 |
リュード |
うほ、便利だな。痛みまでなくなったぜ。イーゼル、もう一つ頼みがある。ルイの傷をほぼ完治させてやってくれないか? |
イーゼル |
できますけど、私の精神力が・・・ |
リュード |
それならば平気だ。これから、また寝ればいい。夜までには回復するだろ? |
イーゼル |
えぇ、それであれば。 |
ルイ |
おい、リュード、何を考えてる。 |
リュード |
思ったんだが、これから神々の山に入るんだよな。 |
ルイ |
あぁ。 |
リュード |
魔物は、そこに居るのかな? |
ルイ |
居るだろうな。 |
イーゼル |
居ません。 |
ルイ |
なんだって? |
イーゼル |
神々の山は言わば枯れ山、生き物、魔物の巣食う場所ではありません。 |
リュード |
というわけだ。 |
ルイ |
何が言いたい |
リュード |
これから俺は寝る。あ、そうだ、ちゃんと計画練をねっておけよな、隊長さん。 |
イーゼル |
リュードさんが何を言いたいのか判ります。此処ら辺には魔物は居ないと。 |
リュード |
そういうことだ。じゃ、お休み。 |
ルイ |
どういうことだ? |
イーゼル |
神々の山には、魔物は居ないか、居てもわずかだと思います。リュードさんがオオカミ、獣にしか襲われなかったのがその証拠でしょう。 |
ルイ |
なるほど。 |
イーゼル |
とにかく今日は休みましょう。と言っても、ルイ、貴方は見張り役ですね。お願いします。 |
ルイ |
結局、俺一人で考えろって事だろ。 |
イーゼル |
えぇ♪ じゃぁ、お休みなさい。 |
ルイ |
判ったよ。任せて寝ておけ。 |
~第八節 ルイの決意~ |
ルイM |
その日、魔物、獣は姿を現さなかった。何かが引っかかる。
こうも、あっさりと行って良いものか。そして、夜になった。 |
イーゼル |
おはようございます。これで、今日二度目のおはようですね。ルイ、大丈夫ですか? |
ルイ |
あぁ、何も起こらなかった。不気味なくらいに。 |
リュード |
おぅ。おはよう。お、無傷じゃないか。獣は? |
ルイ |
襲ってこなかったよ。お前に恐れをなしたんじゃないか? |
リュード |
まぁ、そんなところか。 |
イーゼル |
あ、夕食作りますね。今日こそは暖かい物を食べたいですよね。 |
リュード |
頼むぜ。乾パンは味気ねぇ。 |
ルイ |
一つ話しておきたいことがある。今日の夜、神々の山を登る。 |
リュード |
おい、まだ新月から少ししか経ってないぞ。 |
イーゼル |
そうですね、まだ暗いと思うのですが。 |
ルイ |
いや、少し確かめたいことがあってな。イーゼル、ライト代わりの魔法はあるか? |
イーゼル |
え、えぇ、ありますけど。 |
ルイ |
精神力を消耗するか? |
イーゼル |
いえ、それほどでもありません。 |
ルイ |
なら、夕食が済み、休息をとったら出発だ。 |
イーゼルN |
そうして、私たちは夜に神々の山を登ることになるのでした。
これからどんな困難が待ち受けているのでしょうか。 |
~次回予告~ |
ルイ |
次回予告! |
リュード |
腕が鳴るぜ!この俺様の出番の予感? |
イーゼル |
神々の山には、何も存在しないみたいですよ。 |
ルイ |
それじゃぁ、生け贄の祭壇に骨くらい残っててもいいだろう。生け贄の跡形もないなんて・・・ |
リュード |
まぁ、細けぇ事はいいじゃないか。楽して冒険ができるんだからな。 |
ルイ |
絶対に何かある。これで終わりにはならないはずだ。 |
リュード |
シャラーップ。ということで第二話「神の正体」今度こそ俺の出番だ! |
イーゼル |
何事もなければいいですね。 |
ルイ |
リュードが居るんだ、何事もないわけがない。 |
リュード |
つう訳で、See You Next Time.バイバーイ。 |
ルイ |
なんで、最後だけ、カタカナ? |
イーゼル |
意味は無いと思いますよ。 |
次回へ続く! |